消される鉄路

                  永島盛次 プロフィール
 茨城県古河市在住
 1989年  JRP主催「たのしい写真教室」を受講し、写真を始める
 2000年  写真集「森とローカル線が消える国」を出版
 2004年  在来線を守る全国連絡協議会事務局長として、
         「鉄路を守れ!20年の軌跡 1984〜2004」の出版企画と写真を担当

         

                愚かな「鉄路の廃止」を告発する
「鉄路を守れ」の運動を続けて20年になりますが、在来線廃止反対をさけび、署名や現地調査に行って、「在来線がなくなっても、クルマがあるからどうにかなるよ」「ほとんど鉄道は使わないから…」こんな返事が返ってくるとウンザリします。
自分が直接困らなければ、他の余計なことには無関心の人間が多くなったものです。
鉄路廃止は住民負担を急増させ、大企業だけもうけさす
1980年以降廃線になった路線は、全国で60本、このうち、分割民営化後(1987年4月)に廃線になったのが、17本になります。地域的に見ると、全体の40%強が北海道に集中しています。
待っていたかのように、高速道路や新幹線の建設が進行し、ゼネコンと自動車会社の市場を拡大してきました。その結果、自然環境が大きく破壊されました。
廃止路線のあと、バス転換されるか、第3セクターによる鉄道存続が地元住民と沿線自治体の負担と努力で今日まで維持されてきましたが、第3セクター鉄道協議会の7月20日発表によると、2003年度の輸送経営実績で、38社中31社が経常赤字を計上しています。バス転換でも、廃止になったり、運賃を鉄道の2〜3倍に引き上げたりして、住民・利用者の負担が増え続けています。
鉄路廃止による地域社会の衰退
鉄路の廃止によって、確実に過疎化がすすみ、税収も減少し、自治体の財政を圧迫しています。過疎地域住民の年収が150万円〜250万円という低所得のもとで、倍増した通学のバス代は、家計に大きく食い込みます。
利益第一で、経済のすべてを市場原理にゆだね、公共性を一顧だにせぬ住民不在の、ゆがんだ政治の未来に疑念と腹立ちを感じています。


                2004年8月                 永島盛次

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