友が眠る山−穂高

瀧田惠夫

「友が眠る山−穂高」
 1993年5月に親友が穂高で遭難死したことにショックを受け、それ以後、穂高に登る気持ちにはなれませんでした。それから、13年の月日が経ってようやく決心がつき、2006年10月、私は積年の思いを胸に穂高に向かい、友の歩いた道をたどりました。
 友人とは、中学生頃から故郷の山を月2回は一緒に登るほど大の仲良しでした。社会人になっても互いに登山を続けていましたが、それぞれの生活があり、ついに同行登山は実現しませんでした。友人は、年をとるほどに、ますます山の虜になっていったようです。
 さすがに、友が遭難した春山には行ききれず、秋の紅葉でにぎわう日を選びましたが、紅葉のピークには少し早かったようです。しかし、鎮魂の思いが天に通じたのか、陽の光、雲、星空、気温など好条件に恵まれ、ほんとうに来てよかったと思いました。いつになく、写真もたくさん撮れました。
2007年2月 瀧田惠夫