ワンポイントアドバイス

6.カラーフィルムは、ネガとリバーサルのどちらを使えばよいのか?

スキャナーで読み取り、デジタル処理を行う場合はリバーサルフィルム
 
スキャナーで読み取り、パソコンでデジタル処理する場合は、リバーサルフィルムを使ってください。ネガカラーからも読み取りができますが、なかなか思うような色は出せません。フィルムスキャナーは、ネガからの読み取りを少し苦手としているのです。第一、ネガでは、元の色が直接分からないので、記憶に頼って色を決めるしかないので、色の判断が難しいといわざるを得ません。
印刷やスキャナー読み取りを目的にしないなら、ネガカラーがおすすめ
 プロは、ほとんどリバーサル・カラー(スライド用フィルム)を使っているので、それをまねて、カラーはリバーサルと決めているベテラン・アマチュアが多いようですが、アマチュアの場合は、プリントで見せる機会が多いので、普段はネガカラーを使うことをおすすめします。ただし、パソコンにスキャナーで取り込むことを前提にしている場合は、リバーサル・フィルムを使用してください。
 なぜ、プロがリバーサル・フィルムを使うのかといえば、写真を印刷原稿に使うことが多く、印刷ではネガ・フィルムより、リバーサル・フィルムの方が、色もよく、階調も豊かに出るからです。ネガ・プリントは、印画紙からの反射光で画像を見ることになりますが、リバーサル・フィルムは、フィルムを透過してきた光で画像を見るので、それが発色や階調の違いとなって表れるのです。
 これだけで、リバーサルの方がよいと判断しては早計です。確かに、印刷原稿としては、リバーサルの方が優れているのですが、印刷技術の発達により、その差も小さくなってきましたし、何より、プリントで見せる場合には、ダイレクト・プリントよりネガ・プリントのほうが、ずっと仕上がりがよいのです。
ダイレクトプリントは硬調になり、暗部がつぶれやすい
 リバーサル・フィルムでも、ダイレクトプリントができるのだから、プリントで見せることを考慮しても、リバーサルがよいと思う人がいるかもしれませんが、ネガとダイレクトでは、仕上がりに大きな違いがでます。
 リバーサル・フィルムは、もともと強い透過光で見ることを前提としているために、フィルムとしては、極めて硬調です。つまり、明るいところと暗いところの濃度差が大きいのです。したがって、リバーサル・フィルムでダイレクト・プリントすると、硬調のプリントとなり、暗部のトーンはつぶれ気味になります。ダイレクト・プリントでは、元のリバーサルフィルムの色や階調の完全な再現は困難です。ダイレクト・プリントは、明暗差の小さい写真なら、きれいなプリントが可能ですが、暗部のトーンを見せたい写真、強い影があるような写真には向きません。
プリントで見せるなら、やはりネガカラー
 
ネガカラー・フィルムは、リバーサル・フィルムに比べると、はるかに軟調なフィルムです。暗部のトーンもつぶれずにプリントすることができます。露出の許容範囲も、リバーサルは、3分の1絞りくらいの精度が必要ですが、ネガカラーは2絞りくらいの余裕があり、特別な場合を除き、段階露光なども必要ありません。
 かつては、ネガカラー・プリントといえば、少し眠いような印象があり、ベテランには、ダイレクト・プリントの鮮やかな発色とカリッとした階調が好まれましたが、いまでは、ネガカラー・プリントもダイレクト・プリントに勝るとも劣らぬ発色が可能となりました。とくにクリスタル印画紙を使えば、驚くほど鮮やかな発色となり、プリントで見せる場合は、ネガカラーの方が優位になっています。
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